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ウィローパターン物語~ある愛の物語

 多治見の骨董屋 天地堂さまのご協力で、ウィローパターンの磁器を展示販売させていただいております。

英国製ターキープレート、変形皿、ティーポット、ティーポット・クリーマー・シュガーポット3点セット、デミカップ、バタープレート

日本製有田大皿(明治期)、土岐市駄知銅板転写大皿(明治期)、オールドノリタケアールデコ(大正)等 取り揃いました。蒐集家の方、始めてお目にかけたられた方も楽しんでいただけると幸いです。

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ウィローパターンは、18世紀末から19世紀初め、ヨーロッパの各メーカーが競って製品化をしました。特に、スポードやミントンによって銅版印刷が行われるようになると、機械による大量生産が可能になると共にメーカー間の違いはなくなり、《ウィローパターン》として広く知られるようになったそうです。ミントンなどがウェッジウッドを始めとしたいくつかのメーカー の注文として銅版転写を提供していたことにも起因すると言われています。

この絵柄は、皿のリムに沿って一周すると一つの物語りとなるよう構成されています。

その内容は、中国に舞台を求めていますが、話しの元になっているのはイギリス民話とも言われているようです。

主人公は、高官吏の娘、クーン・セとその秘書のチャン。いつの時代も悲恋物語は哀愁を誘うものです。


むかしむかし、クーン・セというきれいな娘を持つ高級官吏がいた。彼は大きな屋敷に住み、庭には柳(ウィロー)が植えられていた。彼には、チャンという有能な秘書がおり、チャンは、クーン・セに恋をしていたが、彼女の父親は、内情を知りすぎた彼に娘はふさわしくないと思い、チャンは解雇を言いわたされる。娘に会うことができないように父親は家の周りにフェンスを張り巡らせた。チャンはクーン・セと会うことができなくなり、クーン・セも幽閉の身となり、外出も許されず、庭の中や水辺だけが散歩の場所となった。

ある日クーン・セは、かつてチャンにプレゼントしたビーズと詩が載せられたものが水辺に漂っていることに気付き目を止めた。クーン・セは、チャンが近くにいることを知り、勇気づけられると共に嬉しく思った。

やがて、クーン・セは、父親が勝手に、貴族で軍人であるター・ジンと婚約を決めていたことを知り、すっかり気落ちさせられた。

ター・ジンは婚約のお祝いに宝石を持参し、クーン・セの元にやってきた。式は、盛大に行われ、全ては順調であった。

しかしながら、チャンは一計を案じた。宴会に紛れ、使用人の服を着、まんまとクーン・セの部屋にたどり着くことに成功した。彼らは、抱き合って喜びあうと、一緒に逃げようと固く誓いあう。

父親を始め多くの客は、大いに酔っており、二人は見つかることなく逃げられるかに見えた。しかし、とうとう彼女の父親に見つかってしまい、追ってを逃れ橋へと逃げた。

ある夜、父親のスパイから川のそばの家に隠れる男がいるとの報告があった。部下は、その家を突然襲ったが、チャンは激流に飛び込み、難を逃れることに成功する。その時、クーン・セは、てっきり彼が溺れたと思い、非難にくれた。数日後、再び父親の部下たちがやってきて、家を再度捜索した。機転の利くメイドが彼らと話している内にチャンは、窓際にボートを着け、クーン・セを安全に連れ出すことができた。

彼らは、追ってを逃れ、遠くの島に落ち着くことができた。そして、年月が過ぎる内に、二人は島の皆に慕われるようになった。

やがて、父親はその評判を聞きつけ、部下に命じて彼を殺そうと追手を差し向けた。チャンは、とうとう力尽き、クーン・セは自らと共に家に火を放った。

神は、二人の愛に打たれ、二人の魂を永遠の不死鳥のごとく二羽の鳩とした。その後、二羽の鳩は、いつまでもいつまでも大空高く舞い続けたそうな。。